ダイヤモンド・オンラインの連載「コンサル業界『本物と偽物』」で、独立系コンサルの現役経営者・森泰一郎氏が「仕事ができないコンサルを見破る質問術」を論じている。コンサル業界内の格差拡大という構造的な話題だが、採用・転職市場の視点から読むと、示唆が多い記事だ。
記事の要点(事実のみ)
- 大手コンサルファームは好調な業績を維持している一方、中小・個人系ファームでは失注や倒産が急増している
- 格差拡大の背景として、大企業での新規事業開発・M&A・生成AI活用・DX推進などの支援ニーズが底堅いことが挙げられている
- 中小ファームはコロナ前後に収益源だった「中小企業のDX」需要が一巡し、専門ソリューションを持たないファームで失注が発生している
- 大手ファームへの発注でも「内容が期待外れ」「期日通りに終わらない」といった炎上案件が存在する
- 一方、手厚い対応で引き合いが多く、案件を戦略的に絞る中小ファームも存在する
私の見解
この記事が指摘するコンサル業界の「玉石混交」は、転職市場でも同様の構造として見えている。
採用市場で見ると、コンサル出身者の市場価値は「どのファームか」という看板よりも、「何ができるか」に移行してきていると感じる。大手ファームのロゴがついた経歴でも、「どのプロジェクトで、何の課題を、どう解決したか」を具体的に語れない候補者は、ハイクラスの求人においては評価されにくい。記事が言う「キラキラ経歴でも即バレ」は、採用面接の現場でも全く同じ話だ。
候補者側から見ると、特にシニア層・マネージャー以上の転職では、経験の言語化がそのまま内定の可否に直結する。「大きなプロジェクトに関わった」だけでは不十分で、「自分が何を判断し、何を変えたか」のレベルまで棚卸しができているかが勝負になる。ファームの規模より、個人の打ち手の具体性が問われる市場になっている。
企業側(採用サイド)に目を向けると、コンサル人材を採用しようとしている事業会社も同じ課題を抱えている。「コンサル経験者を採りたい」という要件はよく聞くが、「どの課題を解かせたいのか」「どんな意思決定に関わらせるのか」が曖昧なまま求人を出しているケースが多い。そういう求人には、本当に力のある候補者は動かない。
打ち手として、まず候補者には「プロジェクト単位での成果の言語化」を徹底してほしい。次に、コンサル人材を採用したい企業側は、求人票に「どの経営課題を任せるのか」「入社後にどのロールを担うのか」を具体的に記載することが、質の高い候補者を引きつける最初の一歩になる。