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  1. 最近、転職相談の内容が少し変わってきた
  2. なぜ今、市場価値を気にする人が増えているのか
  3. 生成AI・DXが加速させた「スキルの陳腐化」への危機感
  4. 終身雇用への信頼が薄れ、会社ではなくスキルで評価される時代へ
  5. 専門性の重要性が増し、「何ができるか」が問われるようになった
  6. 年収と市場価値は必ずしも一致しない
  7. 同じ年収1,200万円でも「社内評価」と「市場評価」は別物
  8. 市場が重視する4つの要素:専門性・変革経験・マネジメント・再現性
  9. 現役エージェントとして感じること:これは前向きな変化だ
  10. 市場価値を知ることは、転職することではない
  11. 市場価値を把握することで広がる3つの選択肢
  12. 転職を前提にしない相談が増えている理由
  13. まとめ:「環境が変わっても価値を発揮できる人」を目指すために
  14. よくある質問(FAQ)
  15. 市場価値とは具体的に何を指しますか?
  16. 年収が高ければ市場価値も高いと考えてよいですか?
  17. 市場価値を知るにはどうすればよいですか?
  18. 転職する気がなくてもエージェントに相談してよいですか?
  19. 30代・40代・50代で市場価値の高め方は変わりますか?
  20. 管理職経験は市場価値にどう影響しますか?
  21. 生成AIの普及で市場価値が下がりやすいスキルはありますか?
  22. 市場価値を上げるために今すぐできることはありますか?

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最近、転職相談の内容が少し変わってきた

man standing in front of people sitting beside table with laptop computers

Photo by Campaign Creators on Unsplash

私がキャリア相談を受けていると、ここ数年で相談者の「最初の一言」が変わってきたと感じています。

以前は「今より年収を上げたい」「〇〇万円以上の求人を紹介してほしい」という、目標金額を明確に持った方が多い印象でした。もちろん今もそういった相談はあります。ただ最近は、こんな言葉で始まる相談が増えてきました。

「転職するかどうかはまだ決めていないんですが、自分の市場価値を一度ちゃんと知っておきたくて。」

この言葉を聞くたびに、私は「この人はキャリアを自分でコントロールしようとしている」と感じます。転職を急いでいるわけではない。でも、何もしないでいることへの漠然とした不安がある。その不安を、受け身ではなく自分から動いて解消しようとしている。

相談者に共通しているのは、「今の職場に大きな不満はない」という点です。年収800万円〜2,000万円帯のIT・DX・コンサル・管理職層の方が多く、現職でそれなりの評価を得ている。それでも、「このまま5年・10年後も自分は必要とされているだろうか」という問いが頭から離れない、という声をよく聞きます。

この変化は、単なる転職市場のトレンドではないと私は思っています。キャリアに対する意識そのものが変わってきているサインではないでしょうか。


なぜ今、市場価値を気にする人が増えているのか

person writing on brown wooden table near white ceramic mug

Photo by Unseen Studio on Unsplash

生成AI・DXが加速させた「スキルの陳腐化」への危機感

生成AI(ChatGPTなどに代表される、人間の言語や思考を模倣するAI技術)やDX(デジタルトランスフォーメーション:業務や事業をデジタル技術で変革すること)の進展は、多くのビジネスパーソンにとってリアルな脅威として感じられるようになっています。

特に、「自分がこれまで価値を発揮してきた仕事の一部が、AIに代替されるかもしれない」という感覚は、年収が高く経験豊富な方ほど強く持つ傾向があります。なぜなら、そういった方々は自分のスキルの輪郭を明確に自覚しているからです。

「今の仕事はできる。でも、その仕事が5年後も同じように存在するかどうかわからない。」この不確実性が、市場価値を問い直すきっかけになっていると感じています。

終身雇用への信頼が薄れ、会社ではなくスキルで評価される時代へ

かつては「大企業に入り、長く勤めることが安定」という感覚が広く共有されていました。しかし今、その前提は少しずつ揺らいでいます。大手企業でも早期退職制度の活用が珍しくなくなり、事業の再編や組織変更が頻繁に起きる中で、「会社が守ってくれる」という感覚を持ちにくくなっています。

こうした環境の変化により、「自分はどこでも通用するスキルを持っているか」という問いが、以前より切実に感じられるようになっています。会社の看板ではなく、自分自身の専門性や経験が問われる時代への移行を、多くの方が肌で感じているのではないでしょうか。

専門性の重要性が増し、「何ができるか」が問われるようになった

採用市場でも、「どこで働いていたか」よりも「何をやってきたか」「どんな成果を出してきたか」を重視する傾向が強まっています。特にIT・DX・コンサル領域では、職種や役割の細分化が進み、「この領域なら任せられる」という専門性の明確さが、採用判断に大きく影響します。

自分の専門性を言語化できていない人は、たとえ優秀であっても市場での評価が伝わりにくい。そのもどかしさを感じている方が、市場価値の棚卸しを求めて相談に来るケースも増えています。


年収と市場価値は必ずしも一致しない

two people drawing on whiteboard

Photo by Kaleidico on Unsplash

同じ年収1,200万円でも「社内評価」と「市場評価」は別物

ここで一つ、具体的な例を挙げてみます。

AさんとBさん、どちらも現在の年収は1,200万円。Aさんは大手メーカーの管理職で、社内の調整業務や部門間のコミュニケーションを長年担ってきました。Bさんは同規模の企業でDXプロジェクトのリードを複数経験し、外部ベンダーとの折衝から社内展開まで一貫して担当してきました。

同じ年収でも、市場での評価は大きく異なる可能性があります。Aさんの経験は「その会社の文脈」に依存している部分が多く、他社でどう再現できるかが見えにくい。一方Bさんは、変革プロジェクトの経験と成果が他社でも通用しやすい形で蓄積されています。

これは、Aさんの経験が無価値だということではありません。ただ、「社内での評価=市場での評価」ではないという事実を、多くの方が見落としがちです。

市場が重視する4つの要素:専門性・変革経験・マネジメント・再現性

私が相談を通じて感じる、市場で評価されやすいキャリアの要素を整理すると、おおよそ以下の4つに集約されます。

① 専門性:特定の領域で深い知識・スキルを持っていること。「この分野ならこの人」と認識されるレベル。

② 変革経験:新規事業の立ち上げ、業務改革、DXプロジェクトなど、現状を変えた経験。成功だけでなく、失敗から学んだプロセスも含む。

③ マネジメント経験:チームや組織を動かし、成果を出してきた実績。人数の多寡より、どんな状況でどう機能させたかが問われる。

④ 再現性:「この人がいれば、別の環境でも同じことができる」と思わせる実績の積み上げ。1回の成功より、複数の文脈での成果が重視される傾向があります。

自分のキャリアを振り返ったとき、これらの要素がどれだけ言語化できているか。それが市場価値を測る一つの出発点になります。


現役エージェントとして感じること:これは前向きな変化だ

man wearing gray long-sleeved shirt and blue denim jeans walking on beige area rug

Photo by Wonderlane on Unsplash

正直に言うと、「市場価値を知りたい」という相談は、以前は少し扱いにくい部類でした。転職意欲が明確でない相談は、エージェントとしてどこに向かって話を進めればいいか、つかみにくい部分があったからです。

でも今は、この種の相談こそ、最も誠実に向き合いたいと思っています。

理由は単純で、「自分の現在地を知ろうとしている人」は、キャリアを主体的に考えている人だからです。転職を急いでいないからこそ、焦りではなく本質的な問いと向き合える。「自分は何が得意で、何が強みで、どこに向かいたいのか」を落ち着いて整理できる状態にある。

こういった相談から始まったケースで、結果的に転職に至る方もいれば、「今の会社でやるべきことが見えた」と現職に向き合い直す方もいます。どちらも、私は良い結果だと思っています。大事なのは、キャリアの選択が「なんとなく」ではなく「自分で考えた上での判断」になることです。

市場価値を知ることへの関心が高まっているこの変化は、多くのビジネスパーソンがキャリアを自分ごととして捉え始めているサインだと、私は前向きに受け止めています。


市場価値を知ることは、転職することではない

silhouette of person standing inside the building facing the glass mirror watching the city

Photo by Ben Blennerhassett on Unsplash

市場価値を把握することで広がる3つの選択肢

市場価値を知ることで、実際に広がる選択肢は転職だけではありません。私が相談を通じて感じる主な変化を挙げると、以下の3つが多いです。

① 現職での交渉力が上がる:自分の市場価値を客観的に把握することで、社内での評価や待遇について、根拠を持って話せるようになります。「市場ではこれくらいの評価を受けている」という認識は、昇給交渉や役割変更の相談を具体化する材料になります。

スキルアップの優先順位が明確になる:「何を学べばいいかわからない」という悩みは、市場価値の棚卸しをすることで整理されやすくなります。自分に足りている要素と不足している要素が見えると、学習や経験の積み方に方向性が生まれます。

③ 転職の選択肢を「持つ」ことができる:転職を「する」ことと、転職の「選択肢を持つ」ことは別です。市場価値を把握しておくことで、何かあったときに動ける準備が整います。これは保険のようなものであり、日常の安心感にもつながります。

転職を前提にしない相談が増えている理由

転職エージェントへの相談というと、「転職を決めた人が行くところ」というイメージを持つ方が多いかもしれません。でも実際には、「まず自分の現在地を知りたい」という段階での相談も、多くのエージェントは歓迎しています。

なぜなら、転職を前提にしない相談の方が、その人の経験やスキルを丁寧に聞き出せるからです。「早く求人を紹介しなければ」という焦りがない分、キャリアの棚卸しに時間をかけられます。

転職を急いでいない今だからこそ、自分のキャリアを落ち着いて整理する機会として、エージェントとの対話を使ってみることを、私はお勧めしたいと思っています。


まとめ:「環境が変わっても価値を発揮できる人」を目指すために

市場価値は、他の誰かと競うためのものではありません。「自分はどんな環境でも価値を発揮できるか」を確認するための、自分自身のものさしです。

年収は今の会社があなたをどう評価しているかを示す数字です。一方、市場価値は「あなたのスキルや経験が、より広い文脈でどう機能するか」を示すものです。この二つは重なることもありますが、必ずしも一致しません。

生成AIやDXの進展、働き方の多様化、組織のあり方の変化——こうした環境の変化は今後も続くでしょう。その中で、「環境が変わっても価値を発揮できる人」でいるために必要なのは、自分のキャリアを定期的に見つめ直す習慣ではないかと私は感じています。

転職を考えていなくても、今の自分のスキルや経験を棚卸しすることは、キャリアをコントロールするための第一歩になります。まずは「自分は何ができて、何が強みで、何が足りないか」を言語化してみることから始めてみてください。

もし一人では整理しにくいと感じたら、転職を前提にしない相談も歓迎しています。あなたのキャリアを一緒に整理するところから、始めましょう。


よくある質問(FAQ)

市場価値とは具体的に何を指しますか?

市場価値とは、あなたのスキル・経験・実績が、現在の労働市場においてどの程度評価されるかを示す概念です。特定の会社の中での評価(社内評価)とは異なり、転職市場や業界全体での通用度を指します。「この人材に、市場はどれくらいの対価を支払うか」という視点で捉えると理解しやすいでしょう。

年収が高ければ市場価値も高いと考えてよいですか?

必ずしもそうとは言えません。年収は現在の雇用主があなたをどう評価しているかの結果であり、市場全体での評価とは別物です。長年同じ会社に勤めることで年収が上がっていても、その経験が他社でどう再現できるかが不明確な場合、市場評価は年収ほど高くないケースもあります。逆に、年収はまだ低くても、希少なスキルや変革経験を持つ方が市場では高く評価されることもあります。

市場価値を知るにはどうすればよいですか?

主な方法として、①転職エージェントに相談して自分のスキルや経験に対するフィードバックをもらう、②求人票を定期的にチェックして自分に近いポジションの条件を把握する、③業界のコミュニティや勉強会に参加して同業者の動向を知る、といったアプローチが考えられます。まずは自分のキャリアを言語化(職歴・実績・スキルを文章にまとめること)してみることが、最初の一歩になります。

転職する気がなくてもエージェントに相談してよいですか?

はい、問題ありません。「転職を前提にしない相談」を受け付けているエージェントは多くいます。むしろ転職を急いでいない段階での相談は、自分のキャリアをじっくり整理できる良い機会です。「今すぐ転職したい」という状態でなくても、自分の市場価値を知りたい・キャリアの方向性を整理したいという目的での相談は歓迎されます。

30代・40代・50代で市場価値の高め方は変わりますか?

年代によって、市場が期待する役割や評価のポイントは異なる傾向があります。30代は専門性の深化と変革経験の蓄積が重視されやすく、40代はマネジメント力と組織を動かした実績が問われることが多いです。50代は、豊富な経験をどう次世代に活かすか、また特定領域での高い専門性が評価軸になりやすい傾向があります。ただし個人差も大きいため、自分の経験を丁寧に棚卸しすることが、年代を問わず重要です。

管理職経験は市場価値にどう影響しますか?

管理職経験は、一般的に市場価値を高める要素の一つです。ただし、「管理職だった」という肩書きよりも、「どんな状況で、何人のチームを、どんな目標に向かって動かし、どんな成果を出したか」という具体的な内容が重視されます。特に、困難な状況でのマネジメント経験や、組織変革に関わった経験は評価されやすい傾向があります。

生成AIの普及で市場価値が下がりやすいスキルはありますか?

一般的に、定型的な情報処理・文書作成・データ集計など、手順が明確で繰り返し性の高い業務は、AIによる代替が進みやすいと言われています。一方、複雑な判断・対人関係の調整・創造的な問題解決・文脈を読んだコミュニケーションなど、人間ならではの要素が求められる領域は、引き続き評価されやすいと考えられます。ただし技術の進化は速く、断定的な予測は難しいため、特定のツールへの依存より、変化に適応する力を育てることが重要だと感じています。

市場価値を上げるために今すぐできることはありますか?

まず取り組みやすいのは、「自分のキャリアの棚卸し」です。これまでの職歴・担当プロジェクト・成果・使ってきたスキルを文章にまとめてみることで、自分の強みと不足が見えやすくなります。その上で、市場で求められているスキルとのギャップを把握し、学習や経験の積み方を考えていく流れが自然です。一人で整理しにくければ、エージェントとの対話を活用することも一つの方法です。

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栗阪 真生のプロフィール写真

この記事の著者・栗阪 真生に直接相談できます

株式会社シンシア 人材紹介事業部 Principal

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著者について

栗阪 真生のプロフィール写真
栗阪 真生
株式会社シンシア 人材紹介事業部 Principal

元エンジニアの転職コンサルタント。 大学院修了後、大手自動車メーカーの研究開発部門にて新技術の研究開発に従事。その後、貿易事業を起業し、事業運営や法人営業を経験しました。現在はシンシアにて、IT・DX・コンサルティング領域を中心に、プロフェッショナル人材のキャリア戦略立案から転職支援までを一貫して担当しています。 エンジニアとして技術に向き合い、起業家として事業をつくり、営業として顧客と向き合ってきた経験から、「その人の強みがどこで活かせるのか」「どのようなキャリアの可能性があるのか」を一緒に考えることを大切にしています。 市場価値や年収だけでなく、その先にある成長機会や働きがいも含めて、納得感のあるキャリア選択をサポートします。

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