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  1. 結論:人数は入口でしかない。企業が見ているのは「何に責任を持ったか」
  2. 企業が知りたい6つの軸
  3. なぜ人数だけでは伝わらないのか
  4. 部下を持った経験がなくてもマネジメント力は示せる
  5. 職務経歴書での書き方:人数の一行を6軸に開く
  6. 面談で聞かれること、答えづらい質問への向き合い方
  7. まとめ:経歴の棚卸しは、次にどこを取りにいくかの整理でもある
  8. FAQ

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結論:人数は入口でしかない。企業が見ているのは「何に責任を持ったか」

man wearing gray polo shirt beside dry-erase board

Photo by Kaleidico on Unsplash

転職の職務経歴書や面談で、マネジメント経験を「部下◯名」という人数だけで説明される方は非常に多い。人数は経験の規模感を伝える入口にはなるが、それ単体では、その方がどのような環境で何を決め、何に責任を持ち、何を動かしてきたのかが見えない。採用側が知りたいのは、次の環境でも再現できる力の中身であり、人数はその判断材料の一つに過ぎない。

この記事では、私が転職面談でマネジメント経験を確認する際に実際に見ている6つの軸(人数・規模・責任範囲・意思決定・推進力・成果)を整理し、職務経歴書と面談でどう伝えるかを説明する。また、部下を持った経験がなくても、大規模プロジェクトで複数部署や外部ベンダーを巻き込み、意思決定と推進を担ってきた経験がマネジメント力として評価される場合があることにも触れる。

対象とする読者は、現職でマネージャー以上の役職を持つITコンサルタント、事業会社IT部門の部長・課長クラス、SIerのPM・PLクラスといった、ミドル・シニア層のハイクラス転職を検討している方である。

企業が知りたい6つの軸

Apple MacBook beside computer mouse on table

Photo by Luca Bravo on Unsplash

面談でマネジメント経験を伺う際、私が確認しているのは以下の6軸である。この順番は、実際に面談で深掘りしていく流れでもある。

人数:何名の組織・チームを率いたのか
直属の部下が何名いたのかに加え、間接的に関わっていたメンバーの数、兼務や一時的な体制も含めて整理する。直属と間接では、責任の性質が異なるため、区別して伝える必要がある。

規模:プロジェクトの予算、期間、関係者の数、拠点
チームの人数だけでは表せない負荷は、プロジェクトの規模に出る。予算規模、プロジェクト期間、関係部署の数、拠点数といった数字で示せる要素を整理する。書けない数字を無理に作る必要はないが、書ける範囲で具体性を持たせる。

責任範囲:採用・評価・育成・予算・P/L のうち、何に責任を持っていたのか
同じ「部下10名」でも、採用と評価の権限を持っている場合と、稼働管理だけを担っている場合では、経験の意味がまったく違う。予算の執行権があったのか、P/Lの責任を持っていたのか、育成計画を自分で立てていたのか。この範囲が明示されていないと、採用側は推測できない。

意思決定:どこまで自分の裁量で判断していたのか
上位者の承認が必要な範囲はどこまでで、自分の裁量で判断できた範囲はどこまでだったのか。この境界線が、次の環境で期待される役割と合うかどうかを測る材料になる。

推進力:他部署、経営層、顧客、ベンダーをどう巻き込んだのか
チーム内で完結する仕事より、組織を横断して動かす必要がある仕事のほうが、難易度は高い。誰を、どのような根拠で、どうやって同じ方向に向かせたのかを整理する。ITコンサル面接対策と選考プロセス攻略の記事でも触れているが、この巻き込みの経験は面接で深く聞かれる部分である。

成果:その結果、売上・コスト・生産性・組織がどう変わったのか
数字で示せる成果があれば書く。ただし、因果が説明できない数字を無理に結びつける必要はない。組織の離職率が下がった、納期遵守率が上がった、属人化していた業務が標準化されたといった、定性的でも説明できる変化があれば、それも成果として整理できる。

なぜ人数だけでは伝わらないのか

people sitting on chair inside building

Photo by Rodeo Project Management Software on Unsplash

職務経歴書に「部下10名のマネジメント」とだけ書かれていても、採用側にはその経験の中身が見えない。同じ「部下10名」でも、採用と評価の権限を持っている場合と、稼働管理だけを担っている場合では、経験の意味がまったく異なる。

人数が多いほど評価が高いわけでもない。少人数でもP/Lや採用の責任を持っていた経験のほうが、大人数の稼働管理だけを担っていた経験より評価される場面は多い。採用側が知りたいのは、次の環境でも再現できる判断力と推進力であり、人数はその一つの指標に過ぎない。

面談の現場では、伺えば出てくる情報が経歴書に一切書かれていないことが非常に多い。採用側は、書かれていないことを推測してくれない。書かれていなければ「無かった」と扱われる。面談で初めて責任範囲や意思決定の裁量を伺い、「それを経歴書に書いていれば、もっと早く選考が進んだのに」と感じる場面は何度も経験してきた。

転職エージェントとの付き合い方でも触れているが、エージェントとの初回面談で経験を整理する段階で、この6軸を意識して話すことで、経歴書の精度は大きく変わる。

部下を持った経験がなくてもマネジメント力は示せる

two people shaking hands in front of a laptop

Photo by Radission US on Unsplash

「部下がいないからマネジメント経験がない」と自己判断して、経歴書に何も書かない方がいる。しかし、大規模プロジェクトで複数部署や外部ベンダーを巻き込み、意思決定と推進を担ってきた経験は、マネジメント力を示す材料になる。

指揮命令権のない相手を動かした経験は、権限で動かす経験より説明価値が高い場合がある。部下に指示を出す場合は、組織上の権限が前提にある。一方、他部署の責任者や外部ベンダーを動かす場合は、権限ではなく、論理と信頼で動かす必要がある。この経験は、次の環境でも再現性が高いと評価される。

この場合に整理すべきは、誰を、何を根拠に、どうやって同じ方向に向かせたのかである。ステークホルダーの数、利害の対立点、それをどう調整したのか、判断の根拠は何だったのか。この情報が整理されていれば、部下の有無に関わらず、マネジメント力は示せる。

「部下がいないからマネジメント経験がない」と自己判断して書かないのは、機会損失になりやすい。コンサルタントに向いている人・向いていない人の記事でも触れているが、巻き込み力はコンサルタントに求められる中核的な能力の一つであり、この経験は正しく伝える価値がある。

職務経歴書での書き方:人数の一行を6軸に開く

a laptop computer sitting on top of a wooden desk

Photo by 2H Media on Unsplash

職務経歴書では、「部下10名のマネジメント」で終わらせず、責任範囲と意思決定の範囲を一文ずつ足す。以下は書き方を示すための架空の記載例で、特定の方の経歴ではない。数字はご自身の事実に置き換えて読んでいただきたい。

修正前
「部下10名のマネジメント」

修正後
「直属の部下10名(開発チーム8名、運用チーム2名)のマネジメントを担当。採用、評価、育成計画の策定を担当し、年間予算3,000万円の執行権を持つ。プロジェクト期間18ヶ月、関係部署5部門、外部ベンダー3社を調整し、経営層への月次報告と意思決定を実施。結果として、納期遵守率を75%から95%に改善」

すべてのプロジェクトでこの密度で書く必要はないが、最も説明価値の高い経験については、この程度まで開いて書く。規模は数字で書けるものを選ぶ。予算、期間、関係部署数、拠点数など、事実として書ける数字があれば明示する。書けない数字を作る必要はない。

成果は、何がどう変わったかを、因果が説明できる範囲で書く。売上への貢献を書く場合は、自分の担当範囲とそれ以外の要因を区別できる形にする。巻き込みの相手(他部署・経営層・顧客・ベンダー)を明示することで、推進力の範囲が伝わる。

書き切れない場合は、面談で必ず聞かれる前提で、話す材料として手元に整理しておく。面談は経歴書を補足する場であり、書かれていない情報を引き出す場でもある。

コンサル役職別の年収と昇格の記事でも触れているが、シニアマネージャー以上のポジションでは、この6軸の中でも特に意思決定の裁量と成果が重視される。

面談で聞かれること、答えづらい質問への向き合い方

面談では、経歴書に書かれている内容を深掘りする質問が続く。以下は、答えづらいと感じる方が多い質問の例である。

「その判断は誰が最終決定しましたか」
これは、裁量の範囲を測る質問である。自分で判断したのか、上位者の承認を得たのか、合議で決めたのか。どの形であっても、実態を正確に伝えるほうが、入社後のミスマッチを避けられる。

「うまくいかなかったチームはありましたか」
これは、失敗の扱い方を見る質問である。失敗がないと答えるより、うまくいかなかった経験を、どう受け止めて次にどう活かしたのかを説明するほうが、再現性の判断材料になる。

答えづらい質問でも、実態以上に見せる必要はない。範囲を正確に伝えるほうが、入社後のミスマッチを避けられる。誇張して通った選考は、入社後の期待値のズレとして跳ね返る。採用側は、誇張を見抜く前提で質問を組み立てている。正確に伝えたほうが、結果として信頼される。

アクセンチュアのIT部門での中途採用や、40代の転職における事業会社とコンサルの比較でも触れているが、ミドル・シニア層の選考では、経験の再現性が最も重視される。再現性は、誇張では示せない。

まとめ:経歴の棚卸しは、次にどこを取りにいくかの整理でもある

6軸で整理すると、自分に足りていない経験も同時に見える。採用の経験がない、P/Lの責任を持ったことがない、大規模な巻き込みを担ったことがない。足りない軸が分かれば、現職で取りにいくか、環境を変えて取りにいくかを判断できる。

転職を前提にしなくても、この棚卸しは次のキャリアの選択肢を広げる。現職で次に取るべき役割が見えることもあるし、今の環境では取れない経験があることに気づくこともある。どちらにせよ、自分の経験を6軸で整理することは、次の判断材料を手に入れることになる。

経歴の棚卸しを一緒に行うキャリア相談も実施している。自分の経験が市場からどう見えるのか、次にどこを取りにいくべきかを、一度整理したい方は相談してほしい。

FAQ

マネジメント経験は部下の人数で評価されるのか
人数は評価の一要素だが、それだけでは経験の中身が見えない。採用側が知りたいのは、責任範囲、意思決定の裁量、巻き込みの範囲、成果である。人数が少なくても、P/Lや採用の責任を持っていた経験のほうが評価される場面は多い。

職務経歴書にマネジメント経験をどう書けばよいか
「部下◯名」で終わらせず、責任範囲(採用・評価・育成・予算・P/L)、意思決定の裁量、巻き込んだ相手(他部署・経営層・顧客・ベンダー)、成果を一文ずつ足す。数字で書ける規模(予算、期間、関係部署数)があれば明示する。

部下を持った経験がなくてもマネジメント力を示せるか
示せる。大規模プロジェクトで複数部署や外部ベンダーを巻き込み、意思決定と推進を担った経験は、マネジメント力の材料になる。指揮命令権のない相手を動かした経験は、権限で動かす経験より説明価値が高い場合がある。

少人数のマネジメント経験でも評価されるのか
評価される。人数より、責任の範囲と意思決定の裁量が重視される。少人数でもP/Lや採用の責任を持っていた経験は、大人数の稼働管理だけを担っていた経験より評価される場面が多い。

面談でマネジメント経験について何を聞かれるのか
「その判断は誰が最終決定しましたか」「うまくいかなかったチームはありましたか」といった、裁量の範囲と失敗の扱い方を測る質問が多い。実態以上に見せる必要はなく、範囲を正確に伝えるほうが入社後のミスマッチを避けられる。

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栗阪 真生
株式会社シンシア 人材紹介事業部 Principal

元エンジニアの転職コンサルタント。 大学院修了後、大手自動車メーカーの研究開発部門にて新技術の研究開発に従事。その後、貿易事業を起業し、事業運営や法人営業を経験しました。現在はシンシアにて、IT・DX・コンサルティング領域を中心に、プロフェッショナル人材のキャリア戦略立案から転職支援までを一貫して担当しています。 エンジニアとして技術に向き合い、起業家として事業をつくり、営業として顧客と向き合ってきた経験から、「その人の強みがどこで活かせるのか」「どのようなキャリアの可能性があるのか」を一緒に考えることを大切にしています。 市場価値や年収だけでなく、その先にある成長機会や働きがいも含めて、納得感のあるキャリア選択をサポートします。

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