Qiitaに投稿されたこの記事は、新卒からソフトウェアエンジニアとして20年以上キャリアを積み、49歳・53歳と2度の転職を経験した方の体験談です。エンジニア転職支援に携わる私にとって、とても読み応えがありました。
要点(記事の事実)
- 1社目: アルミメーカー系IT子会社→ユーザー系大手SIerグループ会社。C言語・オンプレ前提の全文検索エンジン・文書管理パッケージを担当。20年在籍し開発部門の責任者に就くも、大きな失敗をきっかけに尊敬できる上司が退社し、営業部の一般社員へ異動・給与が大幅に低下。
- 1回目の転職(49歳): 転職エージェント2社と契約したが、49歳ではハイクラス求人しかなく難易度を下げると若手と競合するため選択肢が極めて限られた。最終的に異業種分科会で知り合ったCTOを頼り、代表取締役と5回・半年かけて選考を経てカスタマーサクセス担当として入社。
- 2社目: AIチャットボット・AI検索のクラウドサービス企業。C言語・オンプレのスキルはほぼ活かせず、信頼貯金ゼロからのスタートを痛感。2023年前半にRAGサービスを企画・リリース。GPT-3.5 turboのAPIも即業務利用できる環境を活かした。
- 2回目の転職(53歳): 2025年7月、今回も知り合い経由で3社目へ。「将タイプばかりの環境で参謀タイプの自分が居心地よく働けている」と語る。
- 振り返りのメッセージ: ①社外に知り合いをつくる、②LinkedInやWantedlyで経歴を公開する、③スキル・経験をアウトプットする、④AIを活用する、⑤とにかく謙虚でいる、⑥採用してくれた会社に感謝する。
著者見解
とても共感します。この記事を読んで、エンジニア転職支援の現場で感じていることを重ねながら、いくつか補足させてください。
まず「49歳ではハイクラス求人しかなく、難易度を下げると若手と競合して勝負にならない」という指摘は、現場の実態そのものだと思います。候補者の方とお話ししていると、「給与を下げてでも楽な仕事に移りたい」という気持ちはよく出てきます。でも実際には、その選択肢が市場にないケースが多い。だからこそ、年齢を重ねたからこそ持てる「経験の言語化」が重要になります。
この記事の筆者さんは、C言語・オンプレという技術スキルが2社目では通用しなかったと率直に書いています。でも読み進めると、RAGサービスの企画・リリースや、営業・企画・CSを横断してきた思考プロセスは確かに残っている。スキル名は古くなっても、課題を捉えて仮説を立て改善してきたプロセスの経験は、違う言葉で言語化できるはずです。転職支援の現場では、まずここを一緒に整理することが大事だと感じています。
また「知り合い経由で2回とも転職した」という点も印象的でした。これはエージェントを否定しているのではなく、「数回の面接だけでは尊敬できる上司かどうかわからない」という参謀タイプの方にとっての現実的な答えだと思います。LinkedInやWantedlyで経歴を公開し、技術コミュニティや異業種分科会に参加して社外のつながりをつくっておく——これは今すぐ始められる、具体的な行動です。
「謙虚でいること」という結論も、上から言っているのではなく、自分自身が痛感したから出てくる言葉として読めました。50歳前後での転職は決して特殊なことではなくなっています。変化に対応できることは、大きな強みです。経験は無駄にならない——見せ方を変えるだけで評価が変わることがあります。まずは自分の経験を書き出すところから始めてみてほしいと思います。